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金融仲介機能のベンチマークを地域ごとに見る ~第44弾:沖縄県編~

1.沖縄県の地銀

沖縄県の基幹産業は観光業です。ほかに目立った産業はありません。 

 

沖縄県には第一地銀である琉球銀行、沖縄銀行及び第二地銀である沖縄海邦銀行があります。

 

主要指標は下記表のとおりです。第一銀行が優位にある点は他県と変わりません。

 

(全て単体の指標) 琉球銀行 対沖縄海邦銀行比 沖縄銀行 対沖縄海邦銀行比 沖縄海邦銀行
経常収益(H29.3) 41,100 百万円 3.2 38,316 百万円 3.0 12,779 百万円
コア業務純益(H29.3)*1   百万円 0.0 7,913 百万円 5.4 1,476 百万円
修正OHR(H29.3)*2 76.1 % 72.9 % 85.7 %
経常損益(H29.3) 7,400 百万円 3.4 7,858 百万円 3.6 2,189 百万円
自己資本比率(H29.3)*3 8.4 % 10.4 % 8.7 %
従業員(直近) 1,258 1.4 1,124 1.3 875
県内貸出シェア(H29.3) 37 %   35 %   12 %
*1 臨時のものを除いた、銀行本業の収益性を示す指標          
*2 経費÷業務粗利益で算出。効率性を示す指標で低い方が良い。地銀の加重平均値は70.3%    
*3 全行とも国内基準。国内基準では4%以上が義務付けられている。        

 

2.金融仲介機能のベンチマーク項目の比較

では、具体的に同ベンチマークの項目を見てきます。

(なお、項目の詳細な異同については末尾の(参考)に記載しておりますので必要に応じてご参照ください。

また、同ベンチマーク値の高低について他行と比較することがありますが、項目によっては銀行間で定義や集計方法が異なることがあります。そのため、必ずしも同じ前提での比較ではなく、参考程度である点くれぐれもご留意ください)

 

(1)琉球銀行

共通ベンチマークは5つ掲載しています。 

数値面では、沖縄県の三行ともいえることですが、メイン先の経営指標等が改善した割合が低めです。平均が70%程度のところ、琉球銀行においては41%です。また、事業性評価融資については、先数と残高は掲載していますが、全体の割合の掲載はなかったのでわかりにくい面がありました。

 

選択ベンチマークは6項目です。数は少ないものの、重要な項目はカバーされています。

 

独自ベンチマークはありません。

 

(2)沖縄銀行

共通ベンチマークは5つ掲載しています。

数値面では琉球銀行と同様、メイン先の経営指標等が改善した割合が56%と低めです。一方、事業性評価融資の割合は高めです。平均においては先数で10%、残高ベースで20%のところ、沖縄銀行は19%,37%です。

 

選択ベンチマークは17項目です。多いだけあって、M&A支援件数や事業承継支援件数以外にも、本業支援を担当している従業員の割合など珍しい項目も掲載しています。

数値面では、本業支援数、本業支援先のうち経営改善が見られた先数、ソリューション提案先数、メイン取引先のうち経営改善提案を行っている先数が各数千件と非常に多いです。

 

独自ベンチマークは2項目です。やや重点分野があいまいな印象なので、もう少し具体的な方が分かりやすかったでしょう。

 

(3)沖縄海邦銀行

共通ベンチマークは5つ掲載しています。 

数値面では、他二行と同様、メイン先の経営指標等が改善した割合が26%と特に低いです。一方、事業性評価融資の割合は高いです。先数で17%、残高ベースで42%です。

 

選択ベンチマークは7項目です。担保保証に依存しない融資関連はあった方がよいでしょう。他方、法人担当者1人当たりの取引先数は非常に珍しい項目です。

 数値面では、ローカルベンチマークを提示して労働生産性の向上に資する対話を行っている取引先数が一桁で少ないです。また、取引先の本業支援に関連する評価について支店の業績評価に占める割合も2%と低いです。

 

独自ベンチマークはありません。

 

3.定性面の比較

(1)琉球銀行

琉球銀行の経営計画は「Customer Centric 2017」です。顧客本位の収益モデルの実現を経営目標としています。

 

金融仲介機能のベンチマークの説明においては、ベンチマークのみの説明が多い印象です。もっと定性情報をふんだんに使って説明した方が分かりやすいでしょう。

 

(2)沖縄銀行

沖縄銀行の経営計画は「CHANGE FOR VALUE ~新たな価値創造の3年~」です。お客様目線に立った新たなビジネスモデルの構築を目指しており、「お客様目線」の重視を徹底しています。

 

金融仲介機能のベンチマークは、定性情報と別個に説明されています。つまり、個別のベンチマークに定性情報による説明はなく、一方で定性情報がある場合にはベンチマークがないといったものです。例えば、海外への販路開拓件数が多いので、これにまつわる定性情報や独自ベンチマークを加えてもよかったのではないでしょうか。

 

(3)沖縄海邦銀行

沖縄海邦銀行の経営計画は「革新(INOVATION)」です。重点施策は「お客さまのニーズに応えた良質な金融サービスの提供」「安定した経営基盤の確立」「人と組織の強化」です。

 

金融仲介機能のベンチマークについては、定性情報による補足はほとんどありません。法人担当者1人当たりの取引先数など面白いベンチマークを掲載しているので、効果的な説明が求められるところです。

 

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(※1)金融仲介機能のベンチマークについては、2017年5月13日のコラムで説明しております。

 

(参考)

(1)各行が掲載している金融仲介機能のベンチマーク

①琉球銀行

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

7 地元の中小企業与信先のうち、無担保与信先数、及び、無担保融資額の割合(先数単体ベース)

11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)

18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

19 M&A支援先数

21 事業承継支援先数

42 地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業再生支援協議会の活用先数

 

独自ベンチマーク

なし

 

②沖縄銀行

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

1 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)

2 メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)

7 地元の中小企業与信先のうち、無担保与信先数、及び、無担保融資額の割合(先数単体ベース)

11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)

12 本業(企業価値の向上)支援先数、及び、全取引先数に占める割合

13 本業支援先のうち、経営改善が見られた先数

14 ソリューション提案先数及び融資額、及び、全取引先数及び融資額に占める割合

15 メイン取引先のうち、経営改善提案を行っている先の割合

16 創業支援先数(支援内容別)

18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

19 M&A支援先数

20 ファンド(創業・事業再生・地域活性化等)の活用件数

21 事業承継支援先数

34 中小企業向け融資や本業支援を主に担当している支店従業員数、及び、全支店従業員数に占める割合

35 中小企業向け融資や本業支援を主に担当している本部従業員数、及び、全本部従業員数に占める割合

39 取引先の本業支援に関連する研修等の実施数、研修等への参加者数、資格取得者数

42 地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業再生支援協議会の活用先数

 

独自ベンチマーク

1 当行が主催、共催する商談会の開催回数、行員の参画者数(単位:回、人)

2 中小企業診断士、M&Aシニアエキスパート、医療経営士の資格者数(単位:人)

 

③沖縄海邦銀行

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

1 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)

3 法人担当者1人当たりの取引先数

5 事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数

18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

19 M&A支援先数

21 事業承継支援先数

36 取引先の本業支援に関連する評価について、支店の業績評価に占める割合

 

独自ベンチマーク

なし

 

(2)各行における金融仲介機能のベンチマーク

琉球銀行

http://www.ryugin.co.jp/wp-content/uploads/2017/07/discro2017_01.pdf

 

沖縄銀行

http://www.okinawa-bank.co.jp/_files/00028813/tiikimittyaku_2903.pdf

 

沖縄海邦銀行 

https://www.kaiho-bank.co.jp/files/user/pdf/disclouser/2017/disclosure201703_9.pdf

 

(3)各行における経営計画

琉球銀行

http://www.ryugin.co.jp/corporate/corporate/keikaku.html

 

沖縄銀行

http://www.okinawa-bank.co.jp/_files/00018838/change_for_value.pdf

 

沖縄海邦銀行

https://www.kaiho-bank.co.jp/files/user/pdf/plan/15/plan15_all.pdf

 

(4)各行における指標の引用元

基本的には各行のWebサイトより引用しています。修正OHRについては「月刊 金融ジャーナル2017 9月号」、県内貸出シェアについては同「増刊号 金融マップ2018年版」より引用しています。

 

 

 

 

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