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金融仲介機能のベンチマークを地域ごとに見る~第30弾:静岡県編~

1.静岡県の地銀

静岡県は製造業が出荷額で全国四位につけるなど非常に盛んです。また、緑茶に代表される農業や、富士山があるなど観光業も盛んです。

 

静岡県には地銀が4行あり、この数は全国で福岡県に次いで二位です。

第一地銀である静岡銀行、スルガ銀行、清水銀行及び第二地銀の静岡中央銀行です。

主要指標は下記表のとおりです。静岡銀行、スルガ銀行、清水銀行、静岡中央銀行の順に規模が大きいです。

 

(全て単体の指標) 静岡銀行 対静岡中央銀行比 スルガ銀行 対静岡中央銀行比 清水銀行 対静岡中央銀行比 静岡中央銀行
経常収益(H29.3) 210,649 百万円 15.6 134,286 百万円 9.9 23,632 百万円 1.7 13,534 百万円
コア業務純益(H29.3)*1 百万円 63,445 百万円 33.2 1,997 百万円 1.0 1,912 百万円
修正OHR(H29.3)*2 61.6 % 42.7 % 88.6 % 79.7 %
経常損益(H29.3) 51,807 百万円 14.2 57,160 百万円 15.7 3,472 百万円 1.0 3,637 百万円
自己資本比率(H29.3)*3 14.8 % 12.0 % 10.3 % 10.1 %
従業員(直近) 2,884 6.2 1,567 3.4 951 2.0 465
県内貸出シェア(H29.3) 31 %   18 %   6 %   2 %
*1 臨時のものを除いた、銀行本業の収益性を示す指標                
*2 経費÷業務粗利益で算出。効率性を示す指標で低い方が良い。地銀の加重平均値は70.3%          
*3 静岡銀行は国際基準、他行は国内基準。国際基準では8%以上、国内基準では4%以上が義務付けられている。      

 

2.金融仲介機能のベンチマーク項目の比較

では、具体的に同ベンチマークの項目を見てきます。

(なお、項目の詳細な異同については末尾の(参考)に記載しておりますので必要に応じてご参照ください)

 

(1)静岡銀行

共通ベンチマークは5つ掲載しています。 

数値面では、事業性評価融資の割合が低いです。全体に占める割合が、他行はふつう先数で10%、残高ベースで20%程度であるところ、当行では各3%、13%となっています。

 

選択ベンチマークは17項目です。数も多いですが、重要分野も網羅されています。ファンド活用数、転廃業支援数がやや珍しいです。

数値面では事業承継支援先数が931件と多いです。銀行の規模にもよりますが、他行の平均は200から300件程度です。

 

独自ベンチマークは4項目です。1年間の件数ではなく、累計の数値を独自ベンチマークとして載せています。また、事業再生による雇用者数は地域貢献の指標として分かりやすいです。

 

(2)スルガ銀行

共通ベンチマークは4つ掲載しています。

数値面では、事業性評価融資の偏りが通常とは逆です。通常は残高が多い企業を重点的に評価するので全体に占める割合は先数よりも残高ベースの方が高いことが多い。しかし、当行では各33%、26%と残高ベースの割合の方が低くなっています。

 

選択ベンチマークは6項目です。担保・保証に依存しない融資関連をすべて掲載していますが、他行で掲載することが多いM&A支援先数、事業承継支援先数の掲載はありません。スルガ銀行は他行よりも戦略的に特化しているため、その姿勢がベンチマークにも表れたのでしょう。

数値面ではメイン先数の全取引先に占める割合が高いです。他行は40%代半ばであることが多いですが、当行は77%あります。これは、自行がメイン行でない法人取引を縮小していった帰結であろうと推測されます。

 

独自ベンチマークはありません。

 

(3)清水銀行

共通ベンチマークは5つ掲載しています。 

数値面では静岡銀行と同様、事業性評価融資の割合が低いです。全体に占める割合が各3%、9%です。

 

選択ベンチマークは7項目です。経営者保証ガイドライン活用先数、M&A支援先数、事業承継支援先数といった項目は欲しかったです。

数値面では、販路開拓支援先数が1,249件と多いです。これは全与信先に占める割合の13%になりますが、他行の平均は2%程度です。

 

独自ベンチマークはありません。

 

(4)静岡中央銀行

共通ベンチマークは5つ掲載しています。 

数値面の特筆事項はありません。

 

選択ベンチマークは14項目です。担保保証に依存しない融資関連があればなおよかったでしょう。

数値面では、スルガ銀行とは逆にメイン先数の全取引先に占める割合が25%と低いです。

 

独自ベンチマークはありません。

 

3.定性面の比較

(1)静岡銀行

静岡銀行の経営計画は「TSUNAGU~つなぐ」です。基本戦略は「地域経済の成長にフォーカスしたコアビジネスの強化」「事業領域の開拓・収益化による地方銀行の新たなビジネスモデルの構築」など4つです。ビジネスモデルにおいては今後ストラクチャードファイナンスを収益の柱に位置付けている点が目を引きました。また、マネックスグループとの連携を重視している点も特徴的です。

 

金融仲介機能のベンチマークは地域密着型金融への取り組み成果指標の一つと位置付けています。取り組みや推進体制とともに説明がなされています。特に、推進体制についての説明は他行よりも充実している印象を受けました。欲を言えば、静岡県のシェアトップ行として、地域特性を活かした独自ベンチマークや定性的な説明があればなおよかったと思います。

 

(2)スルガ銀行

スルガ銀行の経営計画ではリテール特化戦略により培ったノウハウを最大限に発揮することを目指しています。コア事業はフリーローン、住宅ローン、保障性保険、資産運用サポート、スモール/ミドル法人と位置付けています。特に、前二者を重要視しています。

 

金融仲介機能のベンチマークの位置づけについての記載はありません。説明の仕方としてはベンチマークの羅列に近い見せ方です。もう少し取り組みや事例など定性的な情報と有機的に絡めて説明した方が分かりやすかったのではないでしょうか。

 

(3)清水銀行

清水銀行の経営計画は「ADVANCE AS ONE」です。基本方針は「金融仲介機能の向上」「生産性の向上」「経営基盤の確立」「人財活力の向上」です。カスタマーイン戦略、マーケットイン戦略など、顧客目線を重視している姿勢が伝わりました。

 

金融仲介機能のベンチマークの位置づけについての記載はありません。説明の仕方としてもベンチマークの羅列に近い見せ方です。スルガ銀行と同様、もう少し見せ方に工夫ができたのではないでしょうか。

 

(4)静岡中央銀行

静岡中央銀行の経営計画は「進化~現状打破への挑戦~」です。基本戦略は「お客様中心主義の進化」など7つです。マーケティングの強化を非常に重要視しています。

 

金融仲介機能のベンチマークは中期経営計画=地域密着型金融として積極的に推進するための活用ツールと位置付けています。事業性評価において、独自のヒアリングシートの説明を詳細にしている点が好印象でした。また、製造業という地域特性のある業種を重要視している点もわかりやすいものです。一方で、訪問頻度管理の向上を目指していますが、選択ベンチマークの「取引先への平均接触頻度、面談時間」を掲載するなど、金融仲介機能のベンチマークを活かした見せ方もできたのではないでしょうか。

 

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(※1)金融仲介機能のベンチマークについては、2017年5月13日のコラムで説明しております。

 

(参考)

(1)各行が掲載している金融仲介機能のベンチマーク

①静岡銀行

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

1 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)

2 メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)

5 事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数

11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)

12 本業(企業価値の向上)支援先数、及び、全取引先数に占める割合

13 本業支援先のうち、経営改善が見られた先数

14 ソリューション提案先数及び融資額、及び、全取引先数及び融資額に占める割合

15 メイン取引先のうち、経営改善提案を行っている先の割合

16 創業支援先数(支援内容別)

18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

19 M&A支援先数

20 ファンド(創業・事業再生・地域活性化等)の活用件数

21 事業承継支援先数

22 転廃業支援先数

24 事業再生支援先におけるDES・DDS・債権放棄を行った先数、及び、実施金額(債権放棄額にはサービサー等への債権譲渡における損失額を含む、以下同じ)

28 中小企業に対する経営人材・経営サポート人材・専門人材の紹介数(人数ベース)

39 取引先の本業支援に関連する研修等の実施数、研修等への参加者数、資格取得者数

 

独自ベンチマーク

1 本業支援の取り組みに資する資格保有者数(年度末)

2 ファンドの活用件数(平成25年4月以降の累計)

3 事業再生支援先におけるDES・DDS・債権放棄を行った先数及び実施金額(平成23年4月以降の累計)

4 事業再生・事業承継支援を通じて雇用維持または再雇用先を確保した雇用者数

 

②スルガ銀行

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

2 メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)

7 地元の中小企業与信先のうち、無担保与信先数、及び、無担保融資額の割合(先数単体ベース)

8 地元の中小企業与信先のうち、根抵当権を設定していない与信先の割合(先数単体ベース)

9 地元の中小企業与信先のうち、無保証のメイン取引先の割合(先数単体ベース)

10 中小企業向け融資のうち、信用保証協会保証付き融資額の割合、及び、100%保証付き融資額の割合

11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)

 

独自ベンチマーク

なし

 

③清水銀行

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

1 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)

2 メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)

7 地元の中小企業与信先のうち、無担保与信先数、及び、無担保融資額の割合(先数単体ベース)

16 創業支援先数(支援内容別)

18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

39 取引先の本業支援に関連する研修等の実施数、研修等への参加者数、資格取得者数

40 外部専門家を活用して本業支援を行った取引先数

 

独自ベンチマーク

なし

 

④静岡中央銀行

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

1 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)

2 メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)

11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)

15 メイン取引先のうち、経営改善提案を行っている先の割合

16 創業支援先数(支援内容別)

18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

19 M&A支援先数

21 事業承継支援先数

22 転廃業支援先数

23 事業再生支援先における実抜計画策定先数、及び、同計画策定先のうち、未達成先の割合

28 中小企業に対する経営人材・経営サポート人材・専門人材の紹介数(人数ベース)

39 取引先の本業支援に関連する研修等の実施数、研修等への参加者数、資格取得者数

42 地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業再生支援協議会の活用先数

43 取引先の本業支援に関連する中小企業支援策の活用を支援した先数

 

独自ベンチマーク

なし

 

(2)各行における金融仲介機能のベンチマーク

静岡銀行

http://www.shizuokabank.co.jp/pdf.php?id=2937

 

スルガ銀行

https://www.surugabank.co.jp/surugabank/investors/relationship/pdf/relation_170630_2.pdf

 

清水銀行

https://www.shimizubank.co.jp/uploadfile/docs/%E9%87%91%E8%9E%8D%E4%BB%B2%E4%BB%8B%E6%A9%9F%E8%83%BD%E3%81%AE%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF.pdf

 

静岡中央銀行

https://www.shizuokachuo-bank.co.jp/pdf/170627.pdf

 

(3)各行における経営計画

静岡銀行

http://www.shizuokabank.co.jp/pdf.php?id=2836

 

スルガ銀行

https://www.surugabank.co.jp/apa/2013mar/SurugaBank1303_J.pdf

 

清水銀行

https://www.shimizubank.co.jp/aboutus/approach/pdf/keiei_26_02.pdf

 

静岡中央銀行

https://www.shizuokachuo-bank.co.jp/about/rinen.html

 

(4)各行における指標の引用元

基本的には各行のWebサイトより引用しています。修正OHRについては「月刊 金融ジャーナル2017 9月号」、県内貸出シェアについては同「増刊号 金融マップ2018年版」より引用しています。

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