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金融仲介機能のベンチマークを地域ごとに見る~第21弾:岡山県編~

1.岡山県の地銀

岡山県は水島臨海工業地帯に代表されるように、工業が盛んです。

岡山県には第一地銀である中国銀行と第二地銀であるトマト銀行があります。

主要指標は下記表のとおりです。他県同様、第一地銀である中国銀行がトマト銀行を規模で圧倒しています。

 

全て単体の指標 中国銀行 対トマト銀行比 トマト銀行      
経常収益(H29.3) 125,036 百万円 6.5 19,344 百万円        
コア業務純益(H29.3)*1 27,129 百万円 12.3 2,200 百万円        
修正OHR(H29.3)*2 66.9 % 83.9 %        
経常損益(H29.3) 28,968 百万円 10.2 2,828 百万円        
自己資本比率(H29.3)*3 13.1 % 8.7 %        
従業員(直近) 3,074 3.5 866        
県内貸出シェア(H29.3) 42 %   17 %        
*1 臨時のものを除いた、銀行本業の収益性を示す指標            
*2 経費÷業務粗利益で算出。効率性を示す指標で低い方が良い。地銀の加重平均値は70.3%    
*3 中国銀行は国際基準,トマト銀行は国内基準。国際基準では8%、国内基準では4%以上が義務付けられている。  

 

2.金融仲介機能のベンチマーク項目の比較

では、具体的に同ベンチマークの項目を見てきます。

(なお、項目の詳細な異同については末尾の(参考)に記載しておりますので必要に応じてご参照ください)

 

(1)中国銀行

共通ベンチマークは5つ掲載しています。

数値面では、事業性評価融資について、実数だけでなく全体に対する割合の記載もほしかったですね。

 

選択ベンチマークは7項目です。M&Aや事業承継支援件数はあった方がよかったと思います。担保保証に依存しない融資についてもあればベターだったでしょう。

一方、「転廃業支援先数」について掲載がある銀行は少ないので貴重です。

 

独自ベンチマークはありません。 

 

(2)トマト銀行

共通ベンチマークは5つ掲載しています。

 

選択ベンチマークは6項目です。中国銀行と同様、M&Aや事業承継支援件数、担保保証に依存しない融資についてのベンチマークはほしいところです。

他方、「運転資金に占める短期融資の割合」はやや特徴的です。

数値面ではメイン取引先数の全体に占める割合が低めです。他行平均が5割弱であるところ、当行は26.2%です。

 

独自ベンチマークはありません。

 

3.定性面の比較

中国銀行の中期計画(平成29年度~平成31度)は「未来共創プラン ステージⅠ」です。

主要戦略は「サービスの質の向上」「機会の拡大」「体力の強化」「組織風土改革」です。計数目標に「地域応援プロジェクト総合ポイント」「ライフプランサポート活動総合ポイント」など独自の指標を用いている点がユニークです。

金融仲介機能のベンチマークは、地域応援プロジェクトの推進を定期的にモニタリングするための活用ツールと位置付けています。見せ方としては、テーマ・取り組みと共に掲載があります。ただし、数値についての説明はありません。

 

トマト銀行の中期経営計画(平成29年度~平成31年度)は「トマトみらい創生プラン」です。

重点目標は「地方創生・活性化への貢献」「収益力の進化と収益源の多様化」「強化な経営管理態勢の確立」「組織力・人材力の強化」です。目に付いたのは、その中の重点施策の一つにあった「独自性発揮による新たな収益ドライバーの構築」です。具体的な内容は不明でしたが望ましい視点です。

金融仲介機能のベンチマークは金融仲介機能の質を高めるための活用ツールとしています。内容についてはディスクロージャー誌の中で触れられていますが、見せ方は中国銀行と同様のものです。ベンチマークの数値自体の説明はありません。

 

全体的な感想です。

この二行だけではないのですが、金融仲介機能のベンチマークを載せていてもその数値に対する説明がないケースは非常に多いです。テーマごとに取り組みと共に掲載されることは多いのですが、ベンチマークの数値に説明がないと、読む方としてはそれをどう解釈すればよいか正直分かりません。良いのか悪いのか、高いのか低いのか、それを載せることで何を伝えたいのか。その情報が持つ意味は、単発の数字だけを見てもわかりません。

1年分の数値しかないため比較しようがないケースも多いので、金融仲介機能のベンチマークが継続的に掲載されるようになれば時系列に比較できるようにもなるでしょう。この辺りは産みの苦しみのところもあるでしょう。情報発信する金融機関側でも苦慮しているのではないかと推察されます。

 

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(※1)金融仲介機能のベンチマークについては、2017年5月13日のコラムで説明しております。

 

(参考)

(1)二行が共通して掲載している項目

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)

18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

 

(2)一行のみが掲載している項目

①中国銀行のみが掲載している項目

共通ベンチマーク

なし

 

選択ベンチマーク

22 転廃業支援先数

23 事業再生支援先における実抜計画策定先数、及び、同計画策定先のうち、未達成先の割合

40 外部専門家を活用して本業支援を行った取引先数

42 地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業再生支援協議会の活用先数

43 取引先の本業支援に関連する中小企業支援策の活用を支援した先数

 

独自ベンチマーク

なし

 

②トマト銀行のみが掲載している項目

共通ベンチマーク

なし

 

選択ベンチマーク

1 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)

2 メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)

14 ソリューション提案先数及び融資額、及び、全取引先数及び融資額に占める割合

33 運転資金に占める短期融資の割合

なし

 

独自ベンチマーク

なし

 

(3)各行における金融仲介機能のベンチマーク

中国銀行(公表日不明)

http://www.chugin.co.jp/up_load_files/freetext/stockholder_disclosure_1/2016/file/28td2016.pdf

 

トマト銀行(公表日不明)

https://www.tomatobank.co.jp/investor/ir_library/disclosure/2017/disc_2017_7.pdf

 

(4)各行における中期経営計画

中国銀行(平成29年度~平成31年度)

http://www.chugin.co.jp/up_load_files/freetext/miraip1.pdf

 

トマト銀行(平成29年度~平成31年度)p.13~

https://www.tomatobank.co.jp/about/info_plan.html

 

(5)各行における指標の引用元

基本的には各行のWebサイトより引用しています。修正OHRについては「月刊 金融ジャーナル2017 9月号」より引用しています。貸出シェアについては適宜情報が掲載されている各種サイトより引用しています。

 

 

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