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金融仲介機能のベンチマークを地域ごとに見る~第18弾:広島県編~

1.広島県の地銀

広島県は造船・自動車産業が盛んです。

広島県には第一地銀である広島銀行と第二地銀であるもみじ銀行があります。

主要指標は下記表のとおりです。他県同様、第一地銀である広島銀行がもみじ銀行よりも規模が大きいです。

 

全て単体の指標 広島銀行 対もみじ銀行比 もみじ銀行    
経常収益(H29.3) 134,700 百万円 2.5 54,600 百万円      
コア業務純益(H29.3)*1 34,400 百万円 4.4 7,800 百万円      
修正OHR(H29.3)*2 61.4 % 76.9 %      
経常損益(H29.3) 43,200 百万円 2.8 15,700 百万円      
自己資本比率(H29.3)*3 10.8 % 10.1 %      
従業員(直近) 3,381 2.7 1,257      
県内貸出シェア(H28.3) 36 %   19 %      
*1 臨時のものを除いた、銀行本業の収益性を示す指標          
*2 経費÷業務粗利益で算出。効率性を示す指標で低い方が良い。地銀の加重平均値は70.3%  
*3 両行とも国内基準。国内基準では4%以上が義務付けられている。        

 

2.金融仲介機能のベンチマーク項目の比較

では、具体的に同ベンチマークの項目を見てきます。

(なお、項目の詳細な異同については末尾の(参考)に記載しておりますので必要に応じてご参照ください)

 

(1)広島銀行

共通ベンチマークは3つ掲載しています。やはり共通ベンチマークなので、非掲載の項目はほしかったですね。

 

選択ベンチマークは5項目です。数は少ないですが、広島銀行はベンチマークにとらわれない記載方法をしているので、情報自体は充実しています。しかし、それでも事業承継支援数やM&A支援数などは非常に重要なベンチマークであるので掲載が望ましいでしょう。

 

独自ベンチマークは「定性分析実施先数」「中計策定支援の実績」「コンサルティング型融資の実績」です。両方とも事業性評価に関するもので、銀行の重視している姿勢が分かります。

 

(2)もみじ銀行

共通ベンチマークは5つ掲載しています。

 

選択ベンチマークは13項目です。オーソドックスな項目が中心ではあるものの、担保保証に過度に依存しない融資に関する項目は欲しいところです。

数値面ではメイン先数の割合が少ないです。平均は5割弱であるところ、同行は16.1%(H29.3期)です。他にも、本業支援先数の割合や、経営改善提案をした先の割合、事業承継支援先数も他行に比べ少ないです。但し、このあたりは定義の解釈によっても大きく数値が異なる可能性があるので一概には言えないのは留意点です。

一方、経営者保証ガイドライン活用先数は多いです。他行は1割程度が多いですが、同行は22.5%(H29.3期)となっています。

 

独自ベンチマークはありません。

 

3.定性面の比較

広島銀行の中期計画(平成29年度~平成33度)は5年計画です。成果を生むには一定の期間が必要と考え、計画期間を5年としています。重点取り組み項目は「付加価値の高いバンキング業務への取り組み強化」「アセットマネジメント業務への取り組み強化」「収益基盤の強化」です。

金融仲介機能のベンチマークとの関連は、地域密着型金融の取り組み趣旨は同ベンチマークの趣旨と同様だとして、あくまでサブ的な位置づけです。実際、情報量はとても充実しており、特に事業性評価については地域産業である自動車産業や造船・海運業への取り組みについて分かりやすく説明されています。また、担保・保証に依存しない融資については、具体的な要件についての記載もあります。

しかしながら、やはりベンチマークの趣旨の一つに比較可能性がある点を踏まえると、共通ベンチマークや選択ベンチマークのうち重要なものについての掲載やその説明はあった方が良いと思います。

 

もみじ銀行の中期経営計画(平成28年度~平成30年度)は山口フィナンシャルグループとして策定されています。特徴的な点は、基本目標が「金利競争からの脱却」「プロダクト・アウトからの脱却」です。両者はどの銀行も課題とは思いつつも、正面から取り組みにくいテーマですので評価できます。

金融仲介機能のベンチマークは金融仲介の取組みの自己点検・自己評価のツールとして活用・公表するとあります。しかしながら、見せ方としては、掲載しているベンチマークが順番に羅列されているだけであり、特に定性的な説明はありません。もっと効果的にベンチマークを説明することはできたのではないでしょうか。

 

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(※1)金融仲介機能のベンチマークについては、2017年5月13日のコラムで説明しております。

 

(参考)

(1)二行が共通して掲載している項目

共通ベンチマーク

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

5 事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数

11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)

12 本業(企業価値の向上)支援先数、及び、全取引先数に占める割合

 

(2)一行のみが掲載している項目

①広島銀行のみが掲載している項目

共通ベンチマーク

なし

 

選択ベンチマーク

13 本業支援先のうち、経営改善が見られた先数

14 ソリューション提案先数及び融資額、及び、全取引先数及び融資額に占める割合

 

独自ベンチマーク

1 定性分析実施先数

2 中計策定支援の実績

3 コンサルティング型融資の実績

 

②もみじ銀行のみが掲載している項目

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

 

選択ベンチマーク

1 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)

2 メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)

15 メイン取引先のうち、経営改善提案を行っている先の割合

16 創業支援先数(支援内容別)

18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

19 M&A支援先数

21 事業承継支援先数

28 中小企業に対する経営人材・経営サポート人材・専門人材の紹介数(人数ベース)

39 取引先の本業支援に関連する研修等の実施数、研修等への参加者数、資格取得者数

43 取引先の本業支援に関連する中小企業支援策の活用を支援した先数

 

独自ベンチマーク

なし

 

(3)各行における金融仲介機能のベンチマーク

広島銀行(平成29年8月公表)

http://www.hirogin.co.jp/company/csr/relationship/rela_2016.pdf

 

もみじ銀行(平成29年6月公表)

http://www.ymfg.co.jp/finance/pdf/disclosure/h29_03/data/ymfg_12.pdf

 

(4)各行における中期経営計画

広島銀行(平成29年度~平成33年度)

http://www.hirogin.co.jp/company/management_plan/index.html

 

もみじ銀行(平成28年度~平成30年度)

http://www.ymfg.co.jp/news/2016/news_0401.pdf

 

(5)各行における指標の引用元

基本的には各行のWebサイトより引用しています。修正OHRについては「月刊 金融ジャーナル2017 9月号」より引用しています。貸出シェアについては適宜情報が掲載されている各種サイトより引用しています。

 

 

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